昔話をしよう。
いや。
ハジマリの話をしよう。
と格好つけてみたところで、そのハジマリの話というのがいずれにせよ昔のことなんだからこれはいつものように昔話をするのと何も変わらない訳だ。わざわざ言い換えた意味なんてない。人間のやることに意味なんか伴わないことの方が多いんだなぁなんてことを人生で三度目くらいに思い知るくらいの意義しか、少なくとも俺にはないね。まぁ意味がないっていうなら、三度目に思い知ったこれにも全然意味はないんだけど。
……何の話をしていたんだっけ?
そう、昔話。俺達の始まりの話。
これまで何度か同じ語り出しで過去話をしてきたけれど、その中高一貫私立男子校に通っていた俺の中学生時代の話っていうのを一つずつ辿っていけば、そこには必ず「最初」の話があった訳で、思い起こすとこれが結構劇的なのかも知れない。桜舞い散る春、中学受験を経て入学し、そこでクラスメイトになったり部活が一緒になったり、その部活でチームメイトになったり、言ってしまえば何てことはないそれだけの話ではある。けれど、これがその後のあれやこれや馬鹿騒ぎに繋がる発端だったんだと考えれば、どうしてだろう、なかなかに感慨深く感じられたりするものじゃないか。
昔のことをしみじみ思い出してそう感じるなんて、年を取った証拠だと思うけど。
でも、今宵高校三年生になる俺が新たなる「ハジマリ」を迎える今、かつて昔の「ハジマリ」を思うことは、決して変なことではないはずだ。
そんな訳で――百パーセント俺の自己満足で綴られる話だけれど、それでもよければ、どうか付き合ってやって欲しいと思う。
今これを読む君達のハジマリに、何か少しでも、いい影響を与えられたらと思うから。
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