* * *

 道を行く途中で、そういえばあの男子校は来賓の駐車はご遠慮願っていたということを思い出した俺は、学校最寄り駅近くの駐輪場にバイクを停め後は学校まで徒歩で移動することにした。格好よく乗り付けてやろうという計画が見事に台無しになってしまったが、この際気にしない。
「うわ……やっぱ凄いな……」
 最寄り駅から歩くこと約二十分、大通りを逸れて住宅地へと入っていったところに、かつての母校は変わらず存在していた。
 学園祭の盛り上がり方についてもほとんど全く変わっていない。中高一貫、よって全六学年のクラス有志と部活動がそれぞれに工夫を凝らしてお祭り騒ぎをする訳だから、ぶっちゃけその規模はそんじょそこらの県立高校とは比べ物にならず、ましてそれがこの男子校となれば尚更だ。
 校門をくぐり、昇降口傍に設置されたテントで受付を済ませると、既にそこにはダンボールないしベニヤ板製の手作りと思しきプラカードを掲げた各団体の宣伝係が大声を張り上げている。どこもその団体の二枚目を抜擢しているため、周りで近所の女子校の生徒と思われる女の子達がきゃあきゃあ黄色い声を上げているのも当時のままだ。
 ひょっとするとその宣伝係の「二枚目」にムツが抜擢されているなんてことがあるんじゃないかと、一瞬だけ俺はそんなことを考えたのだが――何せムツは、性格はともあれ見てくれだけなら、そこらの韓流イケメンスターが三十人スクラム組んでかかったって太刀打ちできないほど整った容姿をしている――残念なことに、いや、全然残念ではないが、その宣伝係の集団の中にあのイケメン面は見当たらなかった。
 ふむ。
 宣伝係でないとすれば、まぁ普通に考えてクラスで仕事してるんだよな。
「っと。そうだ、」
 ここで俺は今更のように、出発前ムツにメールを送ったことを思い出し、ジャケットのポケットから携帯電話を取り出した。もしかしたらあのメールに返信が来てるかも知れない。
 フラップを開くと案の定、画面には「新着メール一件」と表示されている。届いたメールの差出人はもちろんムツで、内容を確認すると、
『おk。多分その時間ならクラスで仕事してまーす\(^o^)/』
 とあった。
 クラスか……この前例のタイムカプセル騒ぎの時に会った際聞いた話によると、ムツを始め在学中俺がよろしくしていたバレー部練習Cチームのメンバーは、高等部に進学する際のクラス替えで全員が同じB組に振り分けられたらしい。
 つまり高等部二年B組のブースに行けば、仕事の時間帯が外れていない限り、ムツ以外の奴等にも会える可能性が高いって訳だ。
「さてさて……二年B組のブースはっと」
 受付でもらったパンフレットを開き、一番最初のページの団体一覧で目的地を確認する。二年B組は高等部教室棟三階の多目的室で喫茶店をやっているらしい。
 ちなみに、最初に電話があった時にムツには当日どんな出店をやっているのか聞いたのだが、「来てみてのお楽しみー」とのことだったので、どんなことをやっているのか俺は知らない。喫茶店ね。
 まぁ、せいぜい期待させていただくとしよう。

 実に三年ぶりに、かつては毎日過ごしていた校舎の中を歩いて、何も懐かしい気持ちがしないかと問われればそんなことはない。
 いかにその当時くだらねぇ馬鹿騒ぎを繰り広げため息ばかりついていたとはいっても、それが思い出となった今では普通に懐かしいばかりだった。流石に三年も経ってしまえば細部はわずかに変わっているようだけれども、それは学園祭という特殊な装飾を施されている今日に至ってはほとんど気にならなかった。
 中二の途中までをここで過ごしていた俺にとって本当に懐かしいのは中等部教室棟だが、あまり長い時間そこをうろうろしている訳にもいかない。俺の転校後に入学してきたのだろう中等部生のチビ共とすれ違いながら、俺は高等部教室棟奥の多目的室を目指した。
「多目的室301って……確か多目的教室で一番広いところだったよな……お、」
 廊下も各教室も来場客でごった返している。人ごみを縫うようにして歩いていると、廊下の向こうに物凄い長蛇の列ができているブースを発見した。
 思わずパンフレットを確認する俺。
 あまりの人の多さに本当にここで合っているのかと何度も確かめてしまったが、パンフレットの印刷が間違っておらず、また当日いきなり教室の変更があったんじゃない限り、確かにここが高等部二年B組の運営する喫茶店だ。
 だけど……何だ、このあまりにも非現実的過ぎて受け入れがたい喫茶店は。
「……め、」
 メイド喫茶。
 俺の目がおかしくなっていなければ、廊下に出されたポップな手書き看板にはそう記されている。
 来てみてのお楽しみか、なるほどな。
 ……やべぇ、滅茶苦茶素通りしたいぞ……。
「おっ、ユキ! やーっと来たなっ!」
 が、そんな俺の逃走を許さぬとでも言うように、列の先頭に設置された受付にいた一人の男がそう大きな声を上げてきた。
 自分のやるべき業務をほったらかしにして、常夏の太陽の如き輝きを放つ笑顔で手を振っているあいつこそ、俺をこの学園祭に招待した張本人――野瀬睦その人である。
「どーよっ、この格好、滅茶苦茶似合ってんべ? 惚れちゃうだろ?」
「……あのな」
 突っ込みに力が入らない理由は、ムツが身を包んでいるその衣装にあった。
 いわゆるメイド服ではないが――これはまた見事なギャルソンの衣装を、面食い女子が刹那も置かずに飛びつきそうな極上のルックスを持つこの男は纏っていたのだった。
 真っ白いシャツに黒のベストとスラックス、そしてやはり黒のカフェエプロンと上品な形の蝶ネクタイ。最初からムツのためにこの世に生み出された衣装なんじゃないかと思うくらい、それはもう物凄く似合っている。スタイルのいいムツは何を着ても大概の衣装は似合うが、それを差し引いて考えても尚、ベストマッチといった感じだった。そもそも黒い服を着ると、スレンダーなムツの体型はより一層際立って見えるのだ。
 これで実際の喫茶店や、お洒落な雰囲気のレストランにでも置いておけば、その店は間違いなく近くのオフィス街に通うOLのお姉様方で大繁盛するだろう。
「……でも、何でギャルソンなんだ? メイド喫茶なんだろ?」
「いや、最初は俺も給仕担当の奴等は全員メイドの格好でいこうと思ってたんだけど、リオリオがどうしてもってゴネてさー。あいつ、何が何でも俺にこの格好させたかったらしいんだよ。……んで、俺だけギャルソンってのも色々恨み買いそうだろ? だから、給仕係の三分の一くらいはこの格好な訳」
「入り口(はぁと)」という案内があるドアのところから中を窺うと、確かに、客席をうろうろしている給仕係の中にはムツと同じようなギャルソンの格好の生徒が混じっている。
 しかしながら、大半は当然の如くエプロンドレスに身を包んだメイドさん達であり……ここは男子校だから、もちろんそのメイドさんは全員男だ。
 それでもそれなりにらしく見えるのは、この場合衣装が必要以上にちゃんとしているからだろう。膝下までのロングスカートが上品なパフスリーブ袖のエプロンドレスは、このギャルソン衣装と合わせて、恐らくムツの話に出てきた理音による意匠なのだろうと推測される。演劇部で脚本・演出担当を務める成瀬理音はムツの友人筆頭で、俺はムツを通してちょっとした付き合いがあったのだが、何というか、こういうところへのこだわりが半端じゃないところがあいつらしいな、と思う。
 ……ついでに言えば、ムツにどうしてもギャルソンの格好をさせたがったところもな。
 何せ理音は、ムツにぞっこんべた惚れしている。
「これが中等部生ならさ、まだ大半が華奢だし全員がメイドさんでも大して違和感はないんだろうけど。高等部生ともなればやっぱゴツい奴はゴツいからなぁ……そういうのにメイド服着せても、ぶっちゃけ萌えないだろ?」
 俺と共に入り口ドアから中の様子を見、腕を組んでもっともらしくうなずきながらムツは言う。ならばと一つ言わせてもらうが、じゃあゴツくなかったら例え男でも萌えるのか?
「萌えてるから、みんなこうやって並んでんだろ?」
 にやにやとアリスのチェシャ猫みたいに笑って、ムツはくいっと親指でちっとも短くならない長蛇の列を示す。
「ったくよー、笑っちゃうな。近所のスーパーで仕入れてきたティーバックの紅茶とインスタントのコーヒー、それに市販のアイスクリームとコーンフレークと何やかやを盛り付けただけの適当パフェを出すだけなのに、こんなに入れ食い状態なんだぜ? 大繁盛だよ。マジで笑いが止まんねー」
 経営側の汚らしい本質が一部覗いたような気がするが、敢えて指摘はしないことにする。
 まぁ、これは「男子校でメイド喫茶」という企画の勝ちだろう。ムツの言う通り、これが市販品を使ったパフェと飲み物を出すただの喫茶店だったらここまで繁盛はしなかったように思う。男子校で男ばかりだというのに、そこでまさかのメイド喫茶をやるから、注目される訳だ。
「で、こんなに繁盛してるのに、お前は仕事をしなくていいのか」
「んー? ああほれ、この列は整理券配布済みで、案内されるの待ってる人達だからさ。もう時間はとっくに過ぎてるんだけど、中が空かなくて案内できないからここで並んでもらってんの。……それで中に通す時と、あとは午後の分の整理券取りに来た人への応対だけだからさ、基本は退屈なんだよな、この受付の仕事」
 そうなのか。ところで、何でお前は受付係なんだ?
「受付係兼宣伝係、企画者兼、オーナーですから。俺はこの喫茶店の顔な訳。おわかり?」
「……なるほど」
 このふざけた企画の企画主はお前か……。
 何となくそんな気はしてたけど。
「あ、で、ユキの分、ちゃんと整理券取っておいてあるから。紅茶よりはコーヒー派だったよな、お前は? そいで午後一番目の回! ほれ。会計の時にこの整理券出せな。これ元に勘定するんだから、失くすなよ」
 言ってムツは、名刺大のカラーペーパーに「せいりけん☆12時〜 パフェ・コーヒー・メイドゲーム」とだけマーカーで書かれている、極めて偽造の簡単そうな整理券を差し出した。
「……パフェ・コーヒーはわかるけど、このメイドゲームって何だ?」
「そーゆー企画なんだよ。希望者には、メイドさんとあっちむいてホイのゲームして勝つとパフェのトッピングが豪華になんの」
 いかにもムツらしいアイデアだった。
 なるほど、希望者にはメイドさんとゲームな……どうしてなかなか本格的じゃないか。ぶっちゃけ本格的過ぎて引くが。
「そういや、メグとミキは? 同じクラスだって言ってたよな」
 つい話し込んでしまったが、俺がこの学園祭に足を運んだ目的にはムツだけでなく他の友人にも会うというのがある。やはり部活のチームメイトだった浜野恵、通称・メグと服部実紀、通称・ミキの名前を出すと、ムツは客を一人中に案内したところで「あー」と言った。
「メグは調理係だから、奥でパフェ作ってんよ。ミキは……ふっふっふっ、呼んであげようか?」
 怪しい笑いを零し、ムツは俺の返事を聞かずに中へ向かって「おーい、ミキー! ちょっと来い!」と叫ぶ。するとすぐに「はーいはいっ」と返事が返ってきて、お盆を持った一人のメイドがぱたぱたとこっちへ駆けてきた。
「あっ、ユキ来たんだっ? うわ、超久しぶりーっ! わははっ」
「……」
 元気百パーセントのミキに、俺は絶句。
 さて、ここで今作以前の俺の作品を読んでくださった方にももう一度ご確認いただこう。ミキこと服部実紀クンは、こうして男子校に通う立派な一男子高校生なのだが、中等部在籍当初から町の男の十人に八人は振り返るほどの超絶美人っぷりで、その少女めいた可憐な出で立ちはアイドルともてはやされ、人気は先輩達から告白が絶えないほどだった。俺もふわっと花が咲くような愛らしい笑顔に何度となく下半身を骨抜きにされ、つまりミキのいる学校生活というのは俺にとってイコールで煩悩と結びついていた節があるのだけれど――しかしながら、それは逆に言えば俺の男子校生活に日々潤いを与えていてくれたということでもある。
 さてここからが本題。
 その中学生当時のまま、どころか更にキュートさとプリティさをパワーアップさせた超絶美人が、エプロンドレスを身に纏い、ポニーテールの頭にフリフリのブリムをくっつけていたら貴方は何を思うだろうか?
「もう整理券もらったのっ? 午後一番? そっかー、じゃあ俺が張り切ってご奉仕してあげちゃうなっ! 覚悟しとけよっ!」
 しかも、言ってきゃらきゃらと笑っているミキが着ているメイド服は他のメイド達とは違い、膝上のミニスカートタイプだ。そんでもって白のニーハイソックスで、絶対領域が……いやーソコはちょっと見ちゃ駄目かなぁ。視線を逸らそう……当然だが胸の膨らみはない……黒いパフスリーブの袖から白い腕のコントラストが眩しい……二の腕が滅茶苦茶細い、指も白魚のようだ……桜色、桜色の爪……栗色のポニーテール、フリフリブリム……レースたっぷりのエプロン……白ニーハイ……太股……白くて細い太股……絶対領域……。
「……どうしようムツ、ユキがフリーズした」
「ああ……これはいつぞやの、菜津子さんとのファーストコンタクトの時より酷いな……」
 ミキとムツが何か言っているが聞こえない。
 とまぁ、日頃から女子の太股なんか見慣れてる(?)はずの俺でさえそうなってしまうくらいの強烈な魅力がミキの全身から発せられていた。ちなみに俺は制服に黒ニーハイの組み合わせを絶対的に支持する人間なのだが(今俺が通っている学校は女子の黒ニーハイ率が高いので結構嬉しい)、まさかメイド服に白ニーハイがここまで神がかっているとは露とも思ったことがなかった。今となってはそんな過去の自分を猛省すべきである。
「つーか、何でミキだけミニスカメイドなんだ……?」
「と言って俺を睨むな」
 しかし、こんな萌えの極致に君臨した状態のミキをこうしてタダ働きさせ、更には縁もゆかりもエニシもない野郎共の目に触れさせているなんて、俺がこのメイド喫茶の支配人なら全力で阻止するところだ。もしうっかり見初められたりして、危ないアニヲタ集団なんかに誘拐されたりしたらとんでもないじゃないか。その時はメイドじゃなくアリスだったものの、この可憐な友人には前例があるだけに洒落にならない。
 本来そうするべきであるはずの支配人をちらと窺うと、その若き支配人は呆れたように眉を顰めた。
「ていうか俺じゃねーし。……リオリオだよ。俺のギャルソン衣装と同じで、理音がミキのメイド服だけミニスカプラスニーハイにしちまったんだ。恨むならあいつを恨めよな」
「ついでに言うと理音の奴、めっちゃ悔しがってたぜ? 『ユキぴーがいたなら絶対似合ってただろうにっ……何で転校しちゃったのさ!』とか言ってたよっ」
 このメイド喫茶の衣装デザイン担当に殺意が沸く。
 ミキはまだしも、俺なんかにメイド服着せてどうするんだ? 確かに俺はこの歳の割には華奢で背もさほど高くないが、顔立ちとかは普通に男である。ミキくらい可愛いならまだしも、ガチで男の俺に着せてどうしようというのだろう。
「さーて? だけどいつぞやのオーロラ姫と白雪姫はすんげー似合ってたぞ? しかも、その内白雪姫の方は確か我が校のミスに――」
「その口を今すぐ塞げ」
 人の忌々しい過去を軽々しく口にするんじゃねぇよ、ムツ。
「あっ、そうだユキ! 奥にもう一着、予備のメイド服あるよっ? 着る? そんで俺と一緒にご奉仕する?」
 かと思うとその隣からは俺を道連れにしようと誘ってくるメイドさんの声がする。俺はブリムが曲がらない程度に軽く頭をはたいてやってから、その提案を丁重にお断りした。
「外部の人間が生徒に混ざって給仕してたらまずいだろ」
「そうかな? 何か池葉先生あたりならあっさり許してくれそうな気がするけどなっ」
 どうにも俺を自分と同じメイドにしたいらしいミキは、そう言うと不満げに頬を膨らませた。機会があればな、着てやるよメイド服。そんな機会なんて二度と訪れなきゃいいとは思ってるけど。
「ちぇー」
「俺じゃなくたっていいだろ。何ならここのイケメン面をメイドにすりゃいいじゃんか。それにメグは? あいつはメイドの格好してないのか?」
「メグは調理係だもんさ。メイドでもギャルソンでもなくて割烹着着てるよっ。……本当、メグってお母さんって感じだよなーっ」
 何だ残念。あいつもメイドの格好してるんだったら思いっきりからかってやろうと思ったのに。
「いやー、でもメグはあの身長的にギャルソンだっただろうな。給仕係だったとしてもさ」
 また一人客を中に案内してからムツが言った。
「前みたいに髪ぃ長かったら、ひょっとするとメイドだったかも知んねーけど? ばっさり髪切っちゃった今は、ちょっとメイドは無理あるだろ」
「まぁ……それは確かに」
 俺は頭の中に、夏休み明けの九月に会ったメグの姿を思い浮かべる。中学生当時ポニーテールに眼鏡がトレードマークだった長身エセ優等生面は、長かった髪をばっさり肩上で切って目もコンタクトにしていた。相当なイメチェンがなされてしまったから、タイムカプセル事件の時会った最初にちゃんと紹介されてなかったら、街中でばったり会ってもメグだとわからなかったかも知れないと思う。
 が、だとしてもギャルソン姿のメグっていうのはちょっと見たかったかもな。残念は残念だ。
「じゃ、終わった後集まれたらそこで着せてみっか。……そういやユキ、何時までいられんの?」
「いつまででも大丈夫の予定だ。終わりまでっていうなら、終わりまででもいいぜ」
「んじゃ決まり! 明日の準備もあるし、いつ終われるかわかんないけど、目処立ったらメールするわ」
「わかった」
 千客万来の繁盛ぶりで大忙しの店内からお呼びがかかり、そこで一旦ミキは中に戻ってしまった。ムツもまた、受付係の仕事がどんなに暇であろうとも一応職務をこなすつもりはあるらしく、放課後の約束を取り付けてから受付のカウンターの中へ戻った。
「そしたらさ、ユキ、整理券の時間までちょっとうろうろしてこいよ? まだ三十分強あるだろ?」
「そうだな。じゃ、行ってくる」
「おぅ。気をつけてなー」
 丁度そこへ午後の分の整理券を求める新しい客がやってきたため、ムツはそれの応対に当たり始めた。やっぱり忙しそうだな。俺としては整理券の時間になるまでこうして駄弁っていられたらそれが一番良かったんだが、ここまで慌しいとそうもいかなさそうだ。
 ……折角だ、他のブースも見て回るかな。久々の元母校だし。

 午後一番のパフェとメイドさんのご奉仕ゲームに期待をしつつ、俺は一旦、二年B組の喫茶店の元を離れた。


←Back Next→



home

inserted by FC2 system