* * *

「俺の行きつけのボウリング場でいい? わざわざ行ったことないとこ開拓すんの面倒クセ」というムツの独断により降り立ったムツの最寄り駅・町田から歩くこと十分ほどで辿り着いたボウリング場は、入場した俺達四人をかぽーん、という独特の抜ける音で出迎えた。
 この音を聞くと何故か身体の中の血液が煮え立つような胸騒ぎを覚えるのは、俺の中に微かながらもボウリング魂が燻っているからかね。ところで、このボウリングのピンが倒れる時の爽快な音というのは、重量調整のためピンの中に空洞が設けられているために生じる音らしい。それに混じって、時折ボールがレーン上に投げ出される豪快な音も場内に響いている。
 ふむ。ボウリングに来るなんて結構久しぶりだ。前にしたのは、俺の記憶が間違っていない限り中学受験を無事合格で乗り切って小学校を卒業した後の春休み、従兄弟の兄ちゃんと三ゲームくらいやったのが最後だったはずである。それ以前、俺が塾に通い始める前は二ヶ月に一回くらい、やはり従兄弟の兄ちゃんとやっていたんだから、そう考えると昔に比べて大分ボウリングから遠ざかっていたんだな、俺は。
「何ゲームやる? 投げ放題でいい? 五ゲームだけど」
「いくらだ?」
「学生サービス千五百円」
 月に一度の小遣いによる収入のみで生活しているご身分からすると、決して安い出費とは言えない。そうそう飽きずにボールを転がし続けられるとも思えないし、二ゲームくらいでいいんじゃないか? それも一ゲーム辺りの料金によるが。
「一ゲーム四百八十円。あ、貸し靴料もかかるか。合計で……えー、八百三十円だな。どうよ?」
 ボウリング料金としては無難な代金だが、まだ月始めであと丸一ヶ月乗り切らなきゃいけないことを考慮すると微妙な金額だ。
「とりあえず一ゲームにしておいて、金と体力と時間に余裕がある奴だけ追加でもう何ゲームかにすりゃあいいんじゃないか」
 という俺の意見を意外にもすんなりと了承したムツは、受付でその旨をボウリング場の店員に伝えた。中学生という身分特権で学生証の提示もなしに学生サービスを受けられるこのボウリング場はなかなか良心的じゃないかとか一瞬思った俺だったが、よくよく考えればチェーン展開のボウリング場だし当然の計らいなんだろう。
「順番、ご希望があればどーぞ。あ、俺ラスな? 大御所っていうのはいつ何時も最後の最後でどどーんと登場するのが筋ってなもんだぜ。厳かにな!」
 そう言って四番目の欄に真っ先に名前を記入したムツには大御所感や厳かさの欠片もなかったが、どうせこいつは何を言ったって聞きゃあしないんだ。
 俺が口の先まで出かかったそんな文句を肺の中へ押し戻すようにして黙っていると、脇からミキが「はいはーい! じゃあ俺一番ねっ」と言って出てきて一番目の欄に名前を書き込んだ。ムツとどっこいどっこいの汚さの字だが、それでもどこか可愛げがあるように見えるのはやっぱりミキ自身が可愛いからかね。
「メグ、お前どっちがいい?」
「どっちでもいいよ。ユキが好きな方選んで」
 こういう時に一歩引いて譲るのがメグらしいところだ。ムツにもちょっとくらい見習って欲しいもんだと思いながら、俺は僅かばかり悩んだ後で二番目を選択した。必然的にメグの投球順は三番目となる。
 ……ま、投球順でそこまでスコアが大幅に変わるとも思えんが。

 ともあれそんな感じで受付を済ませた俺達は、出された貸し靴を片手に案内されたレーンへと赴き、ベンチにそれぞれ鞄を放り出してまずはハウスボールの選定へと向かった。
 ラックに並べられた五〜十六ポンドのボールの内、迷いなく十ポンド球を選び取ったムツは実に慣れている感じだ。実際慣れているんだろう、この店はムツ御用達らしいしな。ミキはしばしカラフルなボールを眺めて逡巡していたが、やがて「いつものでいっかなー」と明るく呟いて八ポンドを選んだ。ちょいと衝撃を加えれば折れてしまいそうな細腕のミキでも、キッズサイズの五・六ポンド球ではなく八ポンドを選ぶんだなぁと思うと、少し意外な気もする。七ポンドじゃなくて大丈夫なのか。
「俺、スキルなくてストレートしか投げられないから、ストライク出そうと思ったら球の威力で勝負するしかないんだよねっ。確かに八ポンドだとちょいきついんだけど、背に腹は変えられないよっ。あれ? この言葉の使い方って間違ってる?」
「ストライクを取る重要性のためにはボールの重さは構っていられないっていう意味なら、合ってるよ」
 ムツと同じくらいボウリング慣れしていそうなミキとは反対に、物珍しげにボールをしげしげと眺めながらメグはご丁寧に返事をした。かなり悩んでいる様子だったが、最終的にはムツと同じ十ポンド球に手を伸ばし……いや、ちょっと待て。
「なぁ、メグ。俺の聞き間違いじゃなければ、お前さっき数年ブランクがあるって言ってたよな?」
「え? ああ、うん、そうだね」
「前にやったのっていつ?」
 まさかと思って尋ねてみると、メグは頭のポニーテールを揺らして少し考えた後にこう言った。
「うーん……五年前かなぁ。小二の時に子供会の企画でやったのが最初で最後だと思うんだ」
 ……それはほとんど初心者と言う。
「それだと十ポンドは結構きついんじゃないか? 試しに持ってみろよ。振ってみて手首が曲がるなら重すぎだぞ」
 小さなため息交じりの俺のアドバイスに、メグは一瞬眼鏡のレンズの向こうで不満げな表情を浮かべたが、とりあえずは大人しく従い十ポンド球を身体の脇で振ってみせた。少し重いのか手首が若干曲がっている。案の定重すぎだ。
「悪いこと言わないからやめとけ。手首やっちまったらバレーの選手生命サヨナラだぜ」
「うーん……」
 その後いくつかのボールを同じように持ってみて最終的にミキと同じ八ポンドを選択したメグだったが、その表情はやっぱりどこか苦々しげだった。気持ちは何となくわかる。多分、中一にしては割と……何より俺達Cチームの中では一番図体のでかい自分が、チーム内で最も小柄なミキと同じ重さのボールを使うところに、形容し難い格好悪さみたいなものを感じているんだろう。だけどメグ、悪いことは言わん、やめとけ。これは遥か昔、従兄弟の兄ちゃんへの対抗心から無理矢理十ポンド球を投げて手首を痛めたことがある俺の心からの忠告だ。
 という訳で、俺はムツとメグ・ミキの間を取って九ポンド球をチョイスし、先にレーンへと戻ったムツとミキを追ってメグと共にラックの前を後にした。
「おぉう? 大分迷ってたみたいだな、お二人さん」
 既に持ってきたボールを置き場にセットして準備運動をしていたムツが、後から戻ってきた俺とメグを見てニヤついた微笑を向けてきた。遅くなって悪かったな、俺達はいかにもボウリング慣れしてるっぽいお前と違って久しぶりなんだよ。ボール選びくらいじっくり悩ませて欲しいもんだ。
「ミキは?」
「自販に飲み物買いに行ったぜ。そろそろ戻ってくんじゃねぇかな」
「あ、飲み物か……僕も後で買いに行こうかな」
 そんな会話を交わしつつ、俺とメグもまたボールを置くとムツに倣ってブレザーを脱ぎ準備運動を開始した。制服だと少し動きづらいが、ボウリングくらいなら余裕だろう。
「たっだいまーっ。ほい、ムツ。ご要望のコーラなっ」
「うぃ。ありがとサンキュー、ミキ嬢ちゃん♪ いくら? ……百五十円? やべ、小銭ねぇや。つけといてくんね?」
「ニコニコ現金明朗会計でよろしくっ☆ 大丈夫、俺さっき自販で千円札使っちゃって小銭大量に持ってるから。わははっ、おつり出してやるよ、おつりっ」
 程なく自販に行っていたミキも合流し、そこでムツと、ムツの飲み物代を立て替えていたミキとの間で金銭のやり取りがしばしあった。一通り準備体操を終えた俺はベンチにふんぞり返り、ボウリングに来るのは二回目且つ久しぶりだというメグは目新しそうに、次々にレーンへとボールを放る他の客を眺めている。
 ……と、平和だったのはここまでだった。
 何故なら次の瞬間、ミキから受け取ったコーラのペットボトルを開封しながら、ムツの野郎がとんでもないことを言いやがったからである。
 そのとんでもない一言の内容は、ずばりこういったものだった。
「なぁ。……ただボウリングっつーのもつまんないしさ、折角だから、賭けしねぇ?」
 ファールラインの向こうに六十フィート続くレーンを見つめながら静かな口調でムツが言った台詞に、絶対に聞き捨ててはならない単語が混じっていた気がして、ベンチに腰かけゲーム前の瞑想に耽っていた俺は意識を緊急浮上させた。
 何だって? 賭け?
「……何を賭けるつもりだ? 答えによっては俺がお前に返す台詞も変わってくるぞ」
「別に大したもんじゃねぇよ。そう目くじら立てんなって? ひょっとしてユキ、この前ミキのパンツの色で俺と賭けして缶コーヒー奢らされたのまだ根に持ってんのか?」
 根に持っているというほどではないが、少なくともその一件でお前が口にする「賭け」の単語に過敏に反応するようになったのは事実だな。ついでに俺の記憶領域には例の百人一首大会に関する「賭け」の不穏さも染み付いていて、だから過剰に反応してしまうのは不可抗力というやつだ。
 そういや目くじらの「くじら」っていうのはどういう意味なんだろうな、と頭の片隅で考えながら俺はじわりと目尻を吊り上げる。
「いいから、何を賭けるつもりなのかはっきり言え。三文字以上五文字以内でな」
「クレープ」
 てっきり「金」ないし「お金」という答えが返ってくるんじゃないかと思って三文字以上の条件を出したのだが、コーラを一口含んでからのムツの答えは意外且つ簡潔な四文字だった。
 ……クレープ?
「そっ。ボウリングで一ゲーム勝負して、スコアが一番低かった奴が全員にクレープ奢んの。どうだよ?」
 何故か得意げに眉と口角を持ち上げたムツを見て、つい俺は舌打ちしていた。直接的に「金」という言葉が出てこなかっただけで、奢る奢られる云々という単語が飛び出した時点でそれはすなわち金銭絡みの賭けだ。クレープなんて甘くて可愛い言葉に騙されたような気持ちになって、ますます目尻が吊り上がった。
「でも、何でクレープ? 別にドーナツとかでもよくねっ? 今ミスド、丁度百円セール中だしさぁ。じゃなくても百円マックとか」
 俺と同じくできるだけ出費は抑えたいと思っているのか、買ってきたペットボトルの紅茶を一口飲んでからミキが眉根を寄せて尋ねた。
 もっともだ、ミキ。奢る時点で少なからず出費があるから痛手なことには間違いないが、中でもとりわけクレープは単価が高くより痛い出費となる。どんなに安くてもクレープは一つ三百円からだから、それを最低自分以外の三人に奢るとなれば九百円からの損害だ。月に貰っている小遣いが二千五百円から五千円の間に納まる中学生なら、はいわかりましたと言ってぽんと払える金額じゃない。
「ミキの言う通りだ。クレープは奢りとしちゃちょっと高すぎやしないか、ムツ」
「だってー。俺、今猛烈にクレープ食いたいんだもんっ!」
 額に青筋が浮かび上がった気がした。こいつ、自分が今食べたいからってだけの理由で賭けを提案しやがったのか。
「だけど俺、先月姉ちゃんにCD代千円借金してるから、なるべく出費は減らしたいのな? でもすっげぇクレープ食いてぇんだよ。駅前に行きつけのクレープ屋があってさ、……ほら、メグは前一緒にいったことあるだろ? あそこのクレープが食べたい! 俺は食いたいもんは食う! だから賭けをしたい!」
「するな。んなもんてめぇで買って食え」
「やだ。お前等の内の誰かの奢りでクレープ食いたい」
「誰がお前なんかに奢ってやるか!」
「知ってるか、ユキ? 何かを犠牲にし賭した末に勝ち得るクレープはとても美味いのだ」
「知るかそんなん。だったら自分の金を犠牲にして普通に買って食いやがれ、それでも美味いだろ」
「やだやだやだー! クレープ奢って欲しいー! 食べたい食べたい食べたいーっ!」
 奢りでクレープが食べたいだなんて何てフリーダム。そして自分勝手な意見にも程がある。
「駄目だ! 駄々捏ねんな、子供じゃあるまいし!」
 玩具を買って欲しいあまりデパートの売り場の前で泣き喚く子供のようなわがままを言うムツに呆れて俺が一喝すると、ムツは不満と軽蔑とが入り混じったような器用な表情を浮かべて見下し気味に俺を見て言った。
「何だよーいいじゃん。負けなきゃいいだけの話だべ? ……それとも何? もしかしてユキちゃん、俺に勝つ自信がないとか?」
「……」
 心の奥底で微かに燻るプライドから、俺は閉口した。
 はっきり言ってムツの言う通り、俺はこいつとボウリングで勝負して勝てる自信がこれっぽっちもない。塵ほどもない。別にボウリングの技術はそこまでメタクソなもんじゃないが、相手が球技の天才児・野瀬睦ともなれば話は全く別なのだ。
 バレー部に所属しセッターを務めるムツ。だがしかし、そうしてバレー部に所属しておきながら、実はバレーボールはありとあらゆる球技の中でムツが最も苦手とする種目なのだ。それ以外ならバスケ、サッカー、野球、テニス、バドミントン、ハンドボール、何でもござれ。どの部に飛び込んでも即レギュラー枠をゲットできそうな実力の持ち主なのである。苦手そうとはいえ、バレーだって特別下手な訳じゃないしな。……トスのタイミングは変だが。
 実力は未知数だが、ボウリングだってその例に漏れないかも知れない。その可能性の方がずっと高い。ていうか球技でこいつにできないものがあるなら逆に知りたい。
 そうなれば、この賭けは乗った時点で俺の敗北が決定だ。だがそれを素直に「そうです勝てる自信ありません」と認めるのは吹けば飛ぶような規模とはいえど自尊心が許さず、それ故の俺の沈黙だった。
 どうするか……。
「よぉっし、その賭け、乗った! こうなったらムツなんか、こてんぱんのぺっしゃんこにしてやるよっ!」
 さて何と返事したものかと迷っている俺の代わりに、そう威勢よく啖呵を切ったのは、背後でベンチから立ち上がったミキだった。
「ムツがどんだけボウリングスキルに自信あるのか知んないけど、俺だってボウリング下手くそじゃないんだからなっ! いいよムツ、俺もクレープ食いたいしっ。しようぜ、賭けっ」
「ほぉう?」
「但し! 一つ条件がある!」
 俺の脇からひょいと飛び出し、いつの間にかメグとお揃いのポニーテールに結び変えた髪を揺らしてミキは言った。ムツはそれを楽しげににやにやと笑いながら見ている。
「へぇ。何だい、その条件ってのは」
「ムツは最下位の時だけじゃなくて、一位以外だった時も、最下位の奴と割り勘で全員にクレープ奢ることっ! つまりお前は、一位を取れなかった時には順位に関わらず奢り決定!」
 ミキの出した条件に、俺は心の中で感嘆のため息を漏らした。なかなか考えたじゃないか、ミキ。要するにムツは一位を取らないとクレープを奢ってもらえないって訳だ。ムツにどれだけ勝てる自信があるのか知らないが、仮にボウリングが得意なんだとしたらそれくらいは当然のハンデだろう。
「もっと大きなハンデをあげよう」
 ところがムツは、ちっとも怯むことなく怪しげにほくそ笑むと、思わず耳を疑うような更なる好条件を提案してきた。
「ミキとメグとユキ。三人で各フレームごと一番いいスコアを抜き出していった時の合計スコアで、俺と勝負しろ。つまり俺VSお三方っていう構図だ。……俺が勝ったら、お前等三人が割り勘で俺の分のクレープ代を奢る。お前等が勝ったら、俺が全員分のクレープ代を奢る」
 少しの間ムツの言ったことを頭の中で咀嚼し、それから俺は愕然とする。こいつは何を言っているんだ? 気は確かか?
 すなわちその条件とは、ストライクの時は一投・それ以外の時は二投で構成される一フレームごとに、俺達三人の中でもっともよい成績だけをピックアップしていき、そのトータルスコアで挑んで来いということである。もっとわかりやすく噛み砕いて言うと、全十フレームで構成される一ゲームで、各フレームごと俺かミキかメグの内誰か一人でもストライクかスペアを取れば、トータル160越えは軽いという夢のような好条件だ。
 その爛々と輝く表情を見る限り、ミキはかなりボウリング技術に自信があるみたいだし、俺だってボウリングは決して下手ではない。前回従兄弟の兄ちゃんとプレイした時には最高でトータル136だったくらいだ(ちなみに男性の平均スコアはたまにやる人で80〜110くらい)。敢えて言うならほぼ初心者だというメグが若干の不安要素だが、そこは俺とミキでカバーすればいいだけの話である。
「えっ、いいの? 多分それ、ムツめっちゃ不利じゃねっ? だって俺、トータルベスト152だよ?」
 そりゃ凄い。ミキみたいな矮躯でもそのくらいのスコアが出せるもんなのか。それを基準にするなら俺なんかはもっとトータルベストが高くてもいいんだろうな。……ごめんなさい、俺のトータルベストは143です。アベレージは115くらいだと思うが。
「構わんよ。返ってそのくらい難易度高いが燃えるってなもんだぜ♪」
 にぃっと笑ってそう言うと、ムツはミキに向かって右手を差し出す。
 ミキはすぐさまその手を握り返した。宝石のような輝きを放つ大きな瞳が、今日はいつになく燃えているように見える。
「うっし、取引成立だな。……健闘を祈るぜ、ミキ嬢ちゃん。頑張って俺様をこてんぱんのぺっしゃんこにしてください?」
「臨むところだっ! ぎゃふんとだって言わせてやるっ!」
 いつもは四人で一丸となってやっている俺達Cチームだが、今日ばかりは敵同士ということらしい。
 俺は基本的に波風立たせずの平和主義者だし、賭けだ何だという争いはちっともお呼びじゃないが、今更二人の間に入って待ったをかけるつもりはなかった。止めたって聞きゃしないだろう。何しろ今回に限ってはムツだけじゃなく、ミキが物凄くやる気だ。
「……さてさて、どうなりますことやら……」
 他の誰にも聞こえないように、ピンがボールに吹っ飛ばされる軽い音に紛れさせてそう呟き、短く嘆息した。
 クレープ奢りを賭けた、Cチーム一世一代のボウリング大勝負。厄介なことにだけはならなきゃいいけどね。
「……大丈夫かな。自信ないなぁ」
 この先に起こる厄介事をまるで予言するかのように、背後でベンチに腰掛けたメグが頼りなげに呟いたのが聞こえた。


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